新しいミーム間での競争は凄まじい。注目され、選ばれ、文化に加えられることによって、生き残るものは、ほんのわずかである。
誰の小さな創造性が歴史に刻まれる創造性とみなされるかは、運に大きく作用される。

M.チクセントミハイ「クリエイティビティ-フロー体験と創造性の心理学」(2016)

スタートアップ
10のフレームワーク

フレームワーク① 中間プロセスの排除
 中間マージンを得ているプレーヤーを飛ばして、ビジネスを再構築するアイデア。
 例、Uber

フレームワーク② バンドルを解いて最適化する
 あらゆる機能がバンドル(一つに束ねること)されすぎてUXが悪く、ユーザーに価値が届きにくくなっているものを、一度バラバラにして、価値提案を明確にして提供するアイデアのことを「アンバンドル」という。
 アンバンドルした結果、10倍ぐらいのUX改善ができそうなものこそ、スタートアップが取り組むべきテーマになる。

フレームワーク③ バラバラな情報の集約
 あらゆる場所にフラグメント化(断片化)している情報や機能を、一つの場所に集約することによって価値を提供するアイデアのこと。
 例、価格.com、食べログ、Yelp

フレームワーク④ 休眠資産の活用
 使われていないリソースを活用し、売上を発生させるアイデアのこと。
 例、Airbnb、クラウドソース、Uber

フレームワーク⑤ 戦略的自由度
 既存の枠から敢えて外れることで、今までにない価値提案が可能になるアイデア。いわゆる、ブルーオーシャン。
 これまでの戦略や価値提案の仕組みを無視し、自由な発想で価値提案を行う思考の型。
 誰もまだ気づいていない、顧客すら気づいておらず、言語化できていない独自の価値提案。
 それを具現化したプロダクトとUXを磨き込みながら顧客を魅了することで、市場に浸透させていくアイデア。
 例、Snapchat「時間がたつと消えるのでもっと自由にコミュニケーションができる」

フレームワーク⑥ 新しいコンビネーション
 まったく違う領域で活用されていたサービスを組み合わせて価値を提供するアイデアのこと。
 高い抽象化能力、要素間の関連性を見つけ、その新結合から勝ち筋を見つける洞察力や創造力が必要になる。
 例、エアークローゼット

フレームワーク⑦ タイムマシン
 別の市場で既に検証済みのモデルやプロダクトを、他の市場に持ち込むアイデア。
 タイムマシンモデルで勝つポイントは、展開する地域のインフラ特性、現地ユーザーの期待するUXに合わせること。

フレームワーク⑧ アービトラージ
 需要に対して供給不足している市場に、供給過多になっている市場からリソースを持ってくるアイデアのこと。

フレームワーク⑨ ローエンド型破壊
 既存製品の性能が過剰に高まり、多くの顧客が求める水準を超えてしまっている状況で、過剰な部分をそぎ落とし安価な製品を提供するアイデアのこと。
 持続的なイノベーションの枠組みで思考していると、過剰機能とそれに見合う価格を正当化しがち。
 ローエンド型破壊は、必要最小限の機能だけを残し、市場に安価な価格で提供することによって、これまでリーチできなかったセグメントを一気に開拓する発想。

フレームワーク⑩ As a service化する
 プロダクトを売り切るという発想から、脱して、As a service化(サービス化)、サブスプリクション化(会員化)するアイデア。
 米国ではバックオフィス(間接部門)のサービスの8割が、社内業務から切り離され、外部の業者などが提供するバックオフィス機能のサービスに置き換わっている。
 プロダクトのサービス化により、事業者側は顧客との接点が増え、事業者側とユーザー側両方にメリットが生じる。
 売り切り型モデルだと、商品を売る瞬間に、ユーザーの満足度や気分の盛り上がりのピークを持ってきてしまう。
 売った後にフォローやメンテナンスサービスを提供する事もできるが、その後の顧客接点は断片的になりがち。
 サービス化すると、売ったあとも長期間にわたって使い続けてもらうことがキーになる。
 顧客と積極的に接点を持ち、フィードバックを受けることで、サービスやUXを改善しつづけることができる。(サービス化した会員事業にとってもっとも重要な指標は解約率を減らすことになる)

田所雅之「企業の科学-スタートアップサイエンス」日経BPマーケティング(2017)より